〈「レジリエンス(Resilience)」とは、危機に対処する社会の回復の意味です〉

設立趣意書

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 現在、日本国民は新型コロナウィルス感染症によって大きな災厄に見舞われています。また、わが国は過去に多くの国民の命が奪われる自然災害を経験してきました。このような緊急時において国民の命と生活を守るため、今こそ私たちは、連帯して感染症と自然災害に強い社会をつくらなくてはなりません。
 新型コロナウィルス感染症のまん延と10年前の東日本大震災などにおいて、わが国では緊急事態への対処につき、不備が露呈し、数々の教訓を残しています。
 
 今般の新型コロナウィルス感染症では、誰を優先して入院させるか、という「命の選択」を行わなければならない事態が生じました。このことは、緊急時に国民の命を救うための施策として、国や自治体が各病院や医療従事者に対して、病床の確保や入院の受け入れ、医師・看護師の派遣を指示することができないことによるものです。
 また、困窮する国民や企業・事業者に対する迅速な財政支援や国の緊急財政出動ができる体制の確立が求められます。さらに感染防止対策に協力的な病院や企業・中小事業者に対してはさまざまな優遇措置を付与する必要があります。
 加えて、今回の危機を乗り越えることができたとしても、将来、もしエボラ出血熱のような強毒性の感染症がまん延したとき、国民の命を守るための外出や営業の規制などがどこまでできるのか、真剣な議論は急務です。

 東日本大震災でも、さまざまな法的不備が明らかになりました。震災直後、ガソリンなどの燃料の買占め防止や被災地への輸送が喫緊の課題となりました。しかし、法制度の不備により買い占めの禁止も出来ず、被災地への輸送をコントロールすることもできませんでした。
 また、津波によってガレキと化した大量の車両・家屋・家財が道路をふさぎ、被災者の救出作業や道路復旧の妨げとなったにもかかわらず、所有者の許可を取らなければならないという憲法で保障された「財産権」との関係から、これらの撤去が思うように進まない自治体がありました。加えて役場自体の被災によって機能停止に陥った自治体もありました。国民生活に最も身近な自治体機能の確保は、国民の命に直結する課題です。
 このままで、果たして今後30年以内に70%という高い確率で想定されている「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」に迅速に対処し、国民の命と安全を守ることができるでしょうか。
 
 他方、強毒性の感染症のまん延や大地震などの大規模自然災害が発生したとき、国会は開けるのか、国会議員選挙を実施できるのか。国会の定足数や国会議員の任期は憲法で規定されており、その特例を憲法に定め、万一の場合の国会の機能を維持することはまさに焦眉の急でしょう。
 
 私たちは、感染症や自然災害に強い社会をつくり、国民の命と生活を守るため、緊急時についての関係法規の見直し、「平時」から「緊急時」へのルールの切り替え要件の整備、それらの根拠規定としての憲法における緊急事態条項新設の検討など、建設的な論議に取り組むことを提唱し、また第一線において従事される医療界、経済界、防災関係、自治体関係をはじめとする多くの人々と力を合わせて幅広い国民運動を推進するものです。
 
令和3(2021)年6月8日

感染症と自然災害に強い社会を
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