ニューレジリエンスフォーラム要望書
『災害に強い日本へ』
令和7年12月1日
感染症と自然災害に強い社会を
ニュー レジリエンス フォーラム
会長 三村明夫
(日本製鉄株式会社名誉会長)
ニューレジリエンスフォーラムは、感染症と自然災害に強い社会を目指して、菅内閣・岸田内閣・石破内閣に対し5回にわたる政策提言を行うとともに、日本武道館での1万人大会などを開催してきました。
高市内閣の発足に伴い、これまで提言した内容で実現していない課題を整理し、改めて次の4点について要望いたします。
1、防災庁は、「事前防災」と「復旧・復興」に特化した制度設計を
①現在、復興庁が東日本大震災の被災地での「復旧・復興」業務を担っているが、時限的設置であり、今までの「復旧・復興」業務で蓄積された知見を活かすことができなくなる恐れがある。現在、防災庁も被災地の「復旧・復興」業務を担う準備を進めており、防災庁と復興庁を一緒にして「防災復興庁」(仮称)とすることで、復興庁の知見を活かすことを希望する。さらに、防災庁と復興庁を一緒にすることで、「復旧・復興」業務に関しての二重行政の解消にもつながる。
②防災に関する専門人材の育成や、将来の防災庁の幹部職員の養成を行う防災大学校の創設を行う。最初から防衛大学校や気象大学校、海上保安大学校のような学位認定を伴う大学校の設置は制度設計に時間を要するので、まずは、災害時の一次対応を担う地方自治体職員を対象にした研修施設として防災大学校を開設し、その後、学位認定を伴う大学校への移行を目指す。
2、健康危機全般を管理する司令塔を設置し、国・地方の指揮系統を確立せよ
①自然災害だけでなく、感染症やCBRNE災害などに対応できる国民保護組織を政府内に創設する。具体的には、内閣感染症危機管理統括庁を複合災害にも対応できる組織に改編する。各部署や実力組織を横串でつなぎ、オールハザード型の「健康危機全般を管理する司令塔」に発展させる必要がある。
※CBRNE C(化学) B(生物) R(放射能) N(核) E(爆発)
②令和6年に地方自治法の改正が行われ、国は、地方公共団体に対し、事務処理について国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関し、必要な指示ができることになった。一方、「大規模な災害、感染症のまん延その他の被害の程度において、これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例」としているだけで、詳細な指示レベルの内容が明示されていない。国・地方の指揮系統を機能させるためにも、指揮系統の明確化を図る必要がある。
3、共助の強化と平時からの官民連携-地方自治体は各業界団体との間に包括的防災協定を締結せよ
①地方自治体と各業界団体は「平時」の形式的な協定ではなく、顔が見える横串の関係を構築するためにも、各業界団体は自治体が実施する定期的な訓練・研修に積極的に参加し、どの分野・領域においても「緊急時」のタイムラインを共有することが必要である。そのためには特に、都道府県はできるだけ多くの業界団体と包括的な防災協定を結び、発災後の素早い連携が可能となるよう準備をすべきである。国はその包括協定のひな型を示さなくてはならない。
②国と地方、官と民が担う役割を明確にした上で、官民連携で支援していく態勢(運送・建設・警備等の関係団体、医療・福祉関係団体、ボランティア団体などとの連携)づくりを構築しておかなければならない。たとえば、平時において孤独死が増えているのは、地域の「共助」システムが脆弱化あるいは崩壊していることが一因と考えられる。したがって災害関連死を防ぐためには、迅速な避難所の設置と運営、生活環境の維持が求められ、これらは避難所のある地域ごとの共助が必要となる。
4、緊急事態に即応できる法整備を
「憲法に基づく緊急事態宣言」によって法律が「平時」から「緊急時」のルールへと転換できるようにすべきこと。国会が召集できない事態において、緊急政令や緊急財政支出が可能となる制度を憲法に規定すること